- –製品名–
- シンギングロック社 エキスパートⅡ Speed
- –原因–
- 日常的な摩耗によるナイロンテープの摩耗
- –破棄基準–
- 破棄
- –考察–
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- 使用中は外観からしか摩耗状況は確認できない。また、使用中はアタッチメントの他に2枚のマイロンデルタ(ランヤード用とチェストアッセンダ用)が装着しており、内面の摩耗状況は観察しにくい。
- 今回は、アタッチメント部を切開して内面を確認した。
- アタッチメント部の端部の摩耗によって「ほつれ」が始まると、その後は摩耗ではなく「ほつれ」によるテープの切断が急速に進行する。
- 日常の始業前点検にてほつれに気づいてから、この状態に至るまで、実作業日数で12日間程度である。
- アタッチメントのナイロンテープは、左右のレッグループに繋がっており、二重(ふたえ)の構造である。よって、今回の二重になっている下側のテープが破断にいたっても致命的な事故には至らない構造となっている。しかし、上側のテープについても、下側とは反対側の端部にほつれが見られ始めることから、今後、急速にほつれによる切断が進行するものと推察される。
- –結論–
- ハーネスのアタッチメントポイントの摩耗が、摩耗から「ほつれ」になり始めた段階で早急に交換を実施すること。
- –備考–
- 長期の現場では、破棄基準と照らし合わせて「要観察」の装備が「破棄」の段階に至ることもありえます。
ハーネスの予備を携行して現場に行く人はそうそういないでしょう。 - 早めの交換ないし、早めの交換用ハーネスの準備が求められます。
ハーネスの多くは輸入品ですから、国内在庫がないと輸入待ちになります。
輸入代理店の入荷サイクルにもよりますが、概ね、シンギングロック社製品だと最長1か月程度、Petzl社製品だと3か月程度待たないといけないことがあります。
早めに交換用予備を確保しておくことも重要ですね。