特殊高所技術の活用
従来の国交省基準の橋梁定期点検要領では、遠望による目視も致し方なしとされていましたが、点検要領改訂後はできる限り部材に近接して点検するようにと求められています。
当然のごとく、橋梁点検にも予算はある訳ですから、全ての部材に近接するには相当の時間と費用が必要になります。最近の橋梁点検車の性能が向上したとは言え、全ての橋梁に適用できる訳ではありません。また、高所作業車や橋梁点検車を使うにはたいていの場合片側1車線規制が必要になります。桁下に高精度のデジタルカメラを潜り込ませたり、超望遠レンズをつけたデジタルカメラで撮影した画像をもとに、損傷を把握したりする技術も進歩していますが、対象橋梁の構造に大きな制約をうけたりします。
特に、下路式アーチ橋や下路式トラス橋では適用できなかったりするようです。
なので通常の橋梁で、下路式アーチ橋や下路式トラス橋の場合、高所作業車と橋梁点検車の両方を使用したり、高所作業車と桁下カメラ(幅員が狭い場合)を組み合わせるなどして点検を行います。
ここでNETIS登録技術「特殊高所技術」を活用するとどうなるでしょう
当然適用できない橋梁形式がないわけではありませんが、写真のようなPC斜張橋の主塔や、ケーブル定着部の調査を行った後、桁下や床版の調査にも適用でき、また調査員が部材に近接することが可能なので、叩き点検は当然のこと、RCレーダーによる鉄筋探査や超音波測定器を使用した非破壊試験、コア採取やはつりによる鉄筋径の確認など、各種の詳細調査にも十分対応できます。
特殊高所技術は上から下へが基本ではありますが、安全に下から上への移動もすることができ下路トラス橋や下路アーチ橋にも対応することができます。特殊高所技術ひとつで橋梁点検のほぼすべての現地調査を行うことができてしまうのです。
地方自治体の作成した橋梁定期点検要領にはNETIS登録技術である特殊高所技術の活用を示唆したものがありますが、国交省の橋梁定期点検要領案に特殊高所技術の活用が示唆されるのも、もはや時間の問題だと考えています。